【エッセイ】時間
昔から、私はどうしようもないほど、時間の移ろいに切なさを感じていた。
20代前半に書いた初期の楽曲に、『Time Passed』という曲がある。当時の私は、ただただ過ぎ去っていく月日に焦り、その儚さに心を削られるような思いで音楽に向き合っていた。
定職にも就かず音楽を目指していた私を見て、同い年の友人に「お前は刹那主義だな」と揶揄されたこともあった。しかし、私にとってそれは「今が楽しければいい」というような刹那ではなかった。生涯、音楽を続けている自分を予感しながらも、今この瞬間を真剣に生きなければ、何にもならないと感じていた。
あれから時が経ち、私の曲は、時間の捉え方とともに変わっていった。
命が誕生するエネルギーを刻んだ『Birth』。そこから意志を持って歩き出そうと決意した『From Now On』。夕暮れと暗闇が混ざり合う、あの曖昧で美しい境界を捉えた『Nightfall』。すべてが今この瞬間に重なり合うことを示した『The Circle』。過去・現在・未来が一つにつながっていることを描いた『The Past, The Present, And The Future』。そして、その先にある明日を祈るように奏でた『Song for Tomorrow』。
振り返ってみれば、私が書いてきた曲は、その時々の「時間の移ろい」の記録でもあった。
若い頃、私は時間を「奪われるもの」として恐れていた。しかし今ようやく気づく。時間は遠くへ過ぎ去っていくものではなく、積み重なり、幾重もの層となって今この瞬間の自分を形作っているのだということに。過去も未来も、この瞬間にしかない。
今の私が演奏する『Time Passed』は、20代の頃の焦燥とは違う響きを持っているはずだ。それは、自分を受け入れられなかった昔の自分自身との、静かな和解だ。









