【エッセイ】旅の終わり
2023年、トリオのアルバム『Song for Tomorrow』を出した直後、一曲の新しい曲が生まれた。
『The End of The Journey』。
時の流れのようなスピード感、ふと訪れる不安な響き、それらを包み込む力強さ。すべてのツアーにも、どんなに素晴らしいバンドにも、私たちの人生にも、いつか終わりが来る。今この瞬間を輝かせたい。そう思って書いた曲だった。
その頃の私は、まだどこかで「終わり」をイメージとして扱っていた。
言葉が実感を伴ったのは、2025年のことだ。
4月のある日、事故で後頭部を強打し、意識を失って救急車で運ばれた。気がついたら病室のベッドだった。その日の短期的記憶は消え、後で聞けば、私は同じ質問や発言を繰り返し話していたそうだ。天井を見上げながら、自分がどこにいるのかも、何が起こったのかもわからなかった時間があった。
幸い後遺症は残らなかった。もし打ちどころが悪かったらと、今でも恐ろしい。
あの時、それまであった感覚が、迷いなく定まった。
人間は、ある日突然、呆気なく終わることもある。
『The End of The Journey』で表そうとしていた世界そのものだった。曲が先にあり、現実が後から追いついてきた。
私たちは、いつ終わるかも知れない旅の途中にいる。
今日も、今この瞬間の真実を、命の限り響かせたい。
2026年07月08日 | Posted in 【エッセイ】私の考え | | Comments Closed









