【エッセイ】コントロールできないことは手放す
人はつい、変えられないものを変えようとして苦しむ。評価、結果、人の気持ち、過去に起きた出来事。どれも自分では決められないことなのに、「こうなってほしい」と願い、その通りにならないと、不安になったり、腹を立てたり、自分を責めたりしてしまう。私自身も、以前はそうだったと思う。
でも、ある時、気づいた。
人生には、自分でコントロールできることと、できないことがある。そして、心が苦しくなるのは、たいていコントロールできないものに意識を向け続けている時だ。
では、自分にできることは何だろう。それは、自分がどんな姿勢で生きるか、どんな音を出すか、目の前の一瞬にどれだけ誠実でいられるかということだ。評価は相手が決めるものだ。結果はいくつもの条件が重なって生まれる。人の気持ちは、その人自身のものだ。そこに執着しても、思い通りにはならない。だから私は、それらにしがみつくのをやめたいと思うようになった。
手放すというのは、諦めることではない。むしろ、自分ではどうにもできないことに使っていた時間やエネルギーを、本当に自分ができることへ向け直すということだ。今日できる練習をする。目の前の人と誠実に向き合う。一音一音を丁寧に演奏する。それだけは、自分で選ぶことができる。結果は、その後についてくるものかもしれないし、ついてこないかもしれない。でも、それはもう私の及ぶところではない。
変えられないものを変えようとしても、何も変わらない。
自分が変わらなければ、何も変わらない。
そんな思いを音にしたのが、数年前に書いたオリジナル曲『Nothing Changes』だ。変えられないものを追いかけるのではなく、自分にできることを、一つひとつ積み重ねていく。それが、今の私にできる唯一のことなのだと思う。
2026年07月07日 | Posted in 【エッセイ】私の考え | | Comments Closed









